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ミサ登場
~前回のあらすじ~
禁断の森の奥でカイトとネロは魔物に囲まれるが、ネロの武器でなんとか魔物を追い払う。
しかし、追い払った魔物は魔物の死体を共食いし、なんと共食いした魔物は姿を変えた。
姿を変えた魔物たちは次々に背中に装備した武器でカイトとネロを撃ち、カイトとネロは再びピンチに陥る。
~ミサ登場~
姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器で攻撃してくる。
オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。
「ウォーターボール!」
その時、オレたちの頭上でミサの声が降った。
ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。
その間に奴らの攻撃がオレのシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がシャボン玉に吸収されてゆく。
「ど、どうなってんだ!?」
オレはシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、忙しく回転している。
回転しすぎて吐きそうになり、口許を手で押さえる。
逆さまの状態で隣のネロを見る。
ネロはシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。
ネロの奴、平然とバランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。
オレは逆さまの状態でネロを睨んで拳を振り上げる。
こうなったら、意地でもバランス取ってやる。
オレがシャボン玉の中でバランスを取るのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。
オレはコツを掴み、やっとバランスが取れる様になる。
オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。
ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。
無視かよ。オレは俯いてため息を零す。
オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側を拳で叩いてみるが、金属の様な硬い音がする。
どうなってんだ。こいつはシールドなのか?
ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。
「ふぅ。なんとかなったか」
オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。
広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。
大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。
昔は、この森に人が住んでたかもな。
それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すぐ帰るつもりだったんだよな。
馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。
まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。
オレは思い出して、苦笑いしてため息をこぼす。
爺ちゃんの冒険書に書いてあった、ラウル古代遺跡。
爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。
オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。
オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りを握り締める。
この首飾りは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。
爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。
爺ちゃん。オレはこれから、世界を見ていく。
オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむような高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。
オレは束の間の旅を楽しむ。
その時、飛行機の様な騒音が近づいてくる。
「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。
騒音とともにごっついホバーボードに乗った幼馴染のミサが、オレとネロの間に割って入る。
オレは寝返りを打って、やっと来たミサに「おせぇんだよ」と呟く。
(ミサの紹介)
~前回のあらすじ~
禁断の森の奥でカイトとネロは魔物に囲まれるが、ネロの武器でなんとか魔物を追い払う。
しかし、追い払った魔物は魔物の死体を共食いし、なんと共食いした魔物は姿を変えた。
姿を変えた魔物たちは次々に背中に装備した武器でカイトとネロを撃ち、カイトとネロは再びピンチに陥る。
~ミサ登場~
姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器で攻撃してくる。
オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。
「ウォーターボール!」
その時、オレたちの頭上でミサの声が降った。
ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。
その間に奴らの攻撃がオレのシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がシャボン玉に吸収されてゆく。
「ど、どうなってんだ!?」
オレはシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、忙しく回転している。
回転しすぎて吐きそうになり、口許を手で押さえる。
逆さまの状態で隣のネロを見る。
ネロはシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。
ネロの奴、平然とバランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。
オレは逆さまの状態でネロを睨んで拳を振り上げる。
こうなったら、意地でもバランス取ってやる。
オレがシャボン玉の中でバランスを取るのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。
オレはコツを掴み、やっとバランスが取れる様になる。
オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。
ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。
無視かよ。オレは俯いてため息を零す。
オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側を拳で叩いてみるが、金属の様な硬い音がする。
どうなってんだ。こいつはシールドなのか?
ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。
「ふぅ。なんとかなったか」
オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。
広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。
大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。
昔は、この森に人が住んでたかもな。
それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すぐ帰るつもりだったんだよな。
馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。
まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。
オレは思い出して、苦笑いしてため息をこぼす。
爺ちゃんの冒険書に書いてあった、ラウル古代遺跡。
爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。
オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。
オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りを握り締める。
この首飾りは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。
爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。
爺ちゃん。オレはこれから、世界を見ていく。
オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむような高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。
オレは束の間の旅を楽しむ。
その時、飛行機の様な騒音が近づいてくる。
「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。
騒音とともにごっついホバーボードに乗った幼馴染のミサが、オレとネロの間に割って入る。
オレは寝返りを打って、やっと来たミサに「おせぇんだよ」と呟く。
(ミサの紹介)
ミサが肩を竦め、瞼を閉じてため息を零す。
「もう見てられないんだから。あたしに感謝しなさいよ? ネロ、あたし大活躍でしょ!?」
ミサは鼻と喉を鳴らしてオレを一瞥した後、胸の前で手を組み上目遣いでネロにラブラブビームを送る。
オレはつまらなそうにネロを見る。
ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。
また始まったよ。ミサの媚が。付き合ってらんね。
「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」
オレは寝転び、耳を穿りながらミサを睨む。
こいつ、可愛いんだけど、性格が最悪なんだよな。
「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」
ミサはオレに舌を出して、両手を組んでそっぽを向いた。
オレは舌打ちした。
「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」
オレは肩を竦めて、ネロに顎をしゃくる。
オレは「やってらんねぇ」と呟き、ミサに背を向けて寝返る。
景色をぼんやり眺めていると、安心感と疲労で眠気が襲い、オレは欠伸をして目を擦る。
その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
オレのシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。
その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
諦めてくれたか?
オレは寝転んだまま、辺りを見回す。
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