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絶対絶命 ~前回のあらすじ~ カイトとネロは姿を変えた魔物の攻撃を食らう瞬間、幼馴染のミサに魔法で助けられた。 ウォーターボール(ジャンボシャボン玉)で束の間の空中散歩を満喫するものの安心はしていられず、再び魔物に襲われてしまう。 そして、魔物の攻撃でカイトのウォーターボールに罅が入る。ざまあ ~絶体絶命~ その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。 オレのシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。 その時、何故か敵の攻撃が止んだ。 諦めてくれたか? オレは寝転んだまま、辺りを見回す。 くそっ。今度はなんだよ。 敵の攻撃が止んだのを確かめるとオレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。 「おいミサ。なんでオレだけ罅が入るんだよ!?」 オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。拳が怒りで震えている。 ミサ。オレのだけ手加減したんじゃねぇだろうな。 オレの中で、そんな不安が過る。まさかな。 ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。 「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」 ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。 オレはミサが信じられず、ミサを力強く指さす。 「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」 オレの指先が恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。 オレは救いを求める様にネロを見る。 ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか必死に探っている。 ここはネロに任せるか。オレはミサに視線を戻す。 オレはミサの苛立ちで両手で頭を掻き上げる。 「おいミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前それでも幼馴染かよ?!」 オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。 今度は額に嫌な汗を掻いている。 ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。 「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ。」 ミサは瞼を閉じ、指で涙を拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。 こいつ、冗談じゃないな。本気だ。 ...